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ラミュゼ de ケヤキ情報
by lamusee_de_keyaki
【REPORT】『ハイチの音を聴く ハイチの声を聞く ハイチの光を見る vol.2』
ハイチ地震復興支援コンサートツアー 関連イベント第2弾/5月23日(日)14:00−18:00

<報告>
前回大盛会でした「ハイチの文化を知る会」に次いで、今回もますますパワーアップ。ハイチからこのために来日したAZOR、Sara Renelikそして前在日大使マルセル・デュレさんがいらっしゃいました。
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         左から:マイア、Sara、AZOR (photo by Masataka Ishida) 

壁には井上ジェイさんのコレクションからお借りしたハイチ絵画が飾られました。色彩感覚や造形感覚に優れたものもあれば、へたうまと言いますか、テクニックに欠けるものを補って余りあるポエジーにあふれた(私はそういう方が好きです)人間味がポロリと出てしまったような微笑ましい絵画もありました。

AZORはコンガ奏者でありすばらしいボーカリスト、ハイチで最も優れたミュージシャンとして、『ミュージック・オブ・ザイヤー』に選ばれカーネギーホールで演奏する、ハイチのスターです。サラはデァスポラ、つまりハイチで生まれていないハイチ人、カナダで生まれたダンサーで歌手です。そしてデュレさんは日本語も達者で長年の日本滞在で培ってきた日本の政治や実業家たちとのつながりうまく利用して、ハイチへの支援を具体的に、商業パートナーシップを組むことによって実現させようと、飛び回っている人です。今回は地震後4ヶ月経た島の現状報告、何が一番必要なのかを、生の声で訴えるためにいらっしゃいました。

まず、2時からそのデュレさんによるお話し、そして北中正和さんによるハイチ音楽のレクチャー。アフリカの音楽が奴隷たちによってもたらされ、その後独立した国家で独自の発達を経た経緯、隣の島、キューバとの関係など、相変わらずの博識で、ハイチ音楽の豊かさを垣間見ることができました。
休憩時間にはカリビアンバーと称して、ハイチコーヒーとラム入りポンチ、お菓子、などが上智大と東大の学生ボランティアにより販売されました。
そして4時30分から、お待ちかねのライブ。マイア・バルー バンドが、奄美の島歌、ヨルバ語の歌など3曲を演奏して、AZOR とSaraの出番です。AZORは病気のため、それまでつらそうに足を引きずっていたのですが、演奏が始まった瞬間、ものすごいオーラを発して、今まで誰も聞いたことのなかったようなコンガの音色とボーカルを聞かせてくれました。たった一つのコンガでよくこれだけの音の表情が出せるものです。集まった80人のお客さんはまるで、夢の世界に(ブドゥーの世界)連れていかれたかのように、陶然としていました。

ブドゥーといえば、彼らの生活文化も音楽もブドゥーです。私もいまひとつわかっておりませんが、これは古いアフリカのアニミズムらしい。黒魔術が有名ですが、そればかりではなく、八百万の神をあがめ、自然の精霊と交信しながら彼らは生きています。その中のひとつとして踊りや歌があるのです。

アフリカ奴隷たちは彼らの宗教を持って新大陸やカリブの島々に売られてきましたが、何世紀にも渡るキリスト教化などで、本来の姿からは遠くなっているようです。しかし、ハイチはナポレオンの時代に「独立」という快挙を成し遂げたため、キリスト教の影響が少なく、アフリカで失われてしまったものがまだ残っているそうです。
ですからAZORのリズムも伝統的なもので、アフリカの人たちのように創作はしていないそうです。それにしても豊かなリズムでした。

ハイチについて語るとき興味深いのは、彼らがナポレオン率いるフランス人たちから教わったフランス語でルソーの思想を読み、民主主義やヒューマニズムに目覚め、黒人だけで独立国家を作ろうとして実行したことです。彼らが成し遂げたのが200年前、そしてわが国では150年前、中江兆民がフランスに留学して、ルソーの啓蒙思想を持って帰りました。彼は日本にルソー学校をひらき、明治政府の弾圧を受けながらも自由民権運動のリーダーとして、日本の民主化に尽くしました。かたや、カリブ海の島 ハイチ、かたや太平洋の端っこの島 日本で、同じルソーに感動して、民主的な国家を作ろうと努力したのです。その後の日本の選択した道、ハイチのたどった道を想うと、かたや戦争を繰り返し、かたや独裁とクーデター、民衆の蜂起の繰り返し。それぞれ苦難の道でした。しかし、わが国では物質的豊かさを得ることができたのに、ハイチではご存じの通り、極端な貧困、そして今回の震災。と同情するに余りあります。

ルソーの思想はタンポポの種にように、空を飛んで新しい大地に根付き、共和国の芽を発芽させたわけですが、しかし民主主義を大木にまで成長させるのは容易なことではありませんね。ハイチの切り札は音楽とアート、そしておいしいブルーマウンテンコーヒー。私達は毎朝一杯のハイチコーヒーを飲むことによってハイチ経済をチャリティではなく、普通に助けることができます。スターバックスでアメリカの経済を助けるのも好き好きですが、コーヒーはハイチの方がおいしいです。ハイチ音楽のCD を聞いたり、ハイチの絵画を飾るのも楽しみながら援助する方法ですね。
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最後に会計報告です。
78名来場、10名のボランティア、カリビアンバーの売上28,000円。飲み物の仕入れ代を引いて、138,000円をハイチ友の会の手島さんにお渡ししました。
AMADA(義足や義肢をリフォームし支給する運動:本部岡山県)と、現地で学校再開の支援をしているピースウイング・尾道支部に半分づつ寄付されます。いづれもお金がどのように使われるか我々が見守れる団体です。

ハイチコーヒーはここで買えます。フェアートレードです。
今会の主催者の一人、AZORの友人、手島さんのお店です。
http://www.cafe-polepole.com/
(AZOR の CDも買えます!!)

北中正和さんのサイトhttp://homepage3.nifty.com/~wabisabiland/

マイア・バルーhttp://www.maia-zoku.com/
by lamusee_de_keyaki | 2010-05-24 09:24 | L'AMUSEEの活動記録
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